『当方、コスプレイヤーにあらず』

獣化を完全にコントロールできている咒式士は、例えば耳だけを獣と化すことで聴力を増加させ、または瞳孔を収縮させることで暗視能力を手に入れる。
咒弾の節約になるのは勿論、低位の咒式ひとつを長時間維持するのと同然だ。
下手に咒式を使うより、安価で便利なこの能力には、しかし大抵の高位咒式士が嫌がる欠点がある。
それは――見た目が、余りに情けないということだ。
もっとずばり、萌え系と言ってもいい。
聴覚の発達は大抵の咒式士に共通する利点で、有事に獣耳を出している咒式士は多い。
獣化する咒式士同志は切ない連帯感で何も言わないが、獣化できない犯罪者は時にデリカシーの無さから相手の逆鱗に触れる。
「コスプレ咒式士……ってことは高位咒式士だ、逃げろ!」
「そんな区別のつけ方をするなあああ!!」
絶叫と共に放たれた咒式で半殺しにされる犯罪者は、しばしば公的機関に引き渡される前に動物に対してトラウマを負うケースが多いという。
ウサギが怖い、牛が怖い、猫が怖いとぶつぶつ呟き続ける連中を見て、全く同情しない訳でもない。
何をされたのかと好奇心を覚えるが、明日は我が身という言葉を思い出すと、口は災いの元だとしみじみ実感する。

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51:けもの断片。
ちなみに「けも」の断片です。けもの、にあらず。←こだわり。
夏コミの動物王国短編集を脱稿して、こんな断片が大量に残されました。つまり、使わなかったネタ。書きあがらなかったとも言う。
ふたば嬢に「しばらく更新に困らなくていいじゃないか(要約)」と言われましたが、こんな断片で更新……(悩)……まあ、抹消も勿体ないしな(←何かに納得した貧乏性)
とりあえず、ブログというものは更新が楽だ! とある場所で悟りました。何故、今まで悟らなかったかと言うと、これまで主体的に弄ってきたブログは全て自分で立てる系だったからだ。何故そこから始めたんだ私。初心者の癖に……(08/07/21)

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