『愚者の楽園』

言葉なしには満足しない。
言葉だけでは満足しない。
耳元に甘い言葉を囁いてやっても、どうせ戯言なんだろうと切って捨てる。
どれだけ言い募ろうと、信じようとはしない。

身体を求めれば抵抗される。
身体だけ欲しいのだろうと吐き捨てる。
愛しているから抱きたいのだと、組み敷く身体に優しく激しく刻み込んでも伝わらない。
性欲処理なら好きにしろと嘲笑されてしまう。

腕の中に捕らえて睦言を注ぎこみ、泣き叫ぶほどに奉仕してやって。
ようやく愛情を信じて満たされた笑顔を浮かべたと思えば、次の瞬間には手に入れた幸せを失う時を恐れて怯え出す。
不確定な未来に苦しみ、いっそ自分から恋を手放してしまおうとする男は、放っておけば何を仕出かすかわからない。

嗚呼、何て手のかかる男だ。
不安そうな哀しい顔などさせたくないから、何度でも好意を伝えよう。彼の中から疑いが消える日まで幾度でも。
なのに――彼が不安げに見つめてくると、執着されているのだと実感して嬉しくなる。
彼の弱さに呆れながらも、彼を手にしつづけるため一瞬たりとも眼を離せずにいる自分の方が、よほど愚か者で弱いイキモノなのだ。

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36:ダメダメなギギナの話? オフ用のネタをガユス視点で書いてく過程で溜まっていくもの。(06/10/29)070925改稿。

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