法を守って殺されるくらいなら、法を破って殺してきた。
この生き方を後悔することもあるが、これからも生き残る為に戦うだろう。
法律とか世間体とか倫理観とか。モラルと呼ばれるものに逆らうことに躊躇わないから、今も俺は生きていられる。そうするのを止めた時こそが多分、逃れようの無い死に捕まる瞬間だ。
そんな自分がこの恋を躊躇うのは、告白した後のリスクが大きすぎるから。
この想いは誰にも言えない。あいつにも他の誰にも知られてはいけない。
この想いは誰にも言えない。自分自身でも意識してはいけない。
コレはキレイな想いじゃない。依存し、傷つけて。始めてしまったら、破滅に向かうしかないモノだ。恋でなく愛でなく憎悪ですらなく、ただ執着して独占したくて。その為に、もっと深く繋がっていたいだけ。相手を想うのではなく、自分のためにこそ求めている。
傷つきたくないから、黙っているしかない。俺が想うようには、あいつは俺を想ってはくれないから。遊びだといって誘えば、物珍しさに応えてくれるかもしれない。けれど、飽きれば終わってしまう。その時、平静を保つ自信はない。捨てられるくらいならと襲い掛かって、返り討ちにされて満足してしまえそうだ。
いや、たとえ遊びだろうと奴が貧弱な男に手を伸べるなど考えにくい。
奴に拒まれたら……多分絶対そうなるだろうが、拒絶され嘲笑されて、それだけではなく今度は奴にまで置いていかれるかもしれない。独り残され捨てられるかもしれない。仮定形じゃなくてきっとそうなる。そうしたらどうすればいい。
得るものと失うものを天秤にかけたとき、モラルに逆らった挙句に手にするものは全く無い。
誰にも言わず、己自身の眼を閉じて耳を塞いで、何も気付かずに隣にいよう。
誰かに知られてしまったら、その瞬間に想いは崩壊する。
この恋は忘れなくてはならない。
この恋は始めてはいけない。
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42:暗くするんだ~と謎の自己暗示をかけながら書いたメモ……のはずが。(07/01/04)070925改稿。