44:無題

 妙にまじまじと見つめられているから、何か用かと尋ねてみた。
 ギギナが俺を嘲るでなく真摯な眼差しを向けるなんて、気持ち悪さ限りないが、それだけ真面目な理由があるかと思ってしまったのだ。
 すると大きな手が伸びてくる。何のつもりだかわからずに奴の行動を見守っていると、ゆっくりと頬に添えられた手に促され上を向かされる。
 体格的に当然ながら、頭ひとつ高い位置から見下ろされてちょっと不愉快になる。しかし奴の顔があくまで真剣だったので、思わず振り払うでなく出方を待ってしまった、のが。
 俺の、不覚だった。

 どんどん近付いてくる顔を、何事かと思いながらのんきに見つめていた。
 そのまま当然のように唇が重なり、ようやく我に返ったがもう遅い。
 暴れてもギギナの腕力に敵うはずがなく、好き放題に貪られてしまう。
 ようやく手を離した男を、何しやがるんだと睨みつけると、微塵も悪びれぬ態度で、何が悪いのだと問い返されてしまった。

 普通はこういうことを男にしないんだよっ。
 叫ぶと不思議そうな顔をされた。
 貴様は、いつも私が普通じゃないと言う癖に、こんな時だけ普通の反応を求めるのか。
 まるで俺の方が、おかしいような言い草。
 冗談じゃない、どう考えてもオカシイのはお前の方だ。

***********************************************************************
44:甘いもの、というリクがひそかに。あまい?(07/01/08) 080408改稿

TOP ▲
NEXT >>

This page is Japanese version only.
当サイト内のテキスト及び画像は、許可しているものを除き無断転載を禁じます。
Powered by Movable Type 3.33-ja