妙にまじまじと見つめられているから、何か用かと尋ねてみた。
ギギナが俺を嘲るでなく真摯な眼差しを向けるなんて、気持ち悪さ限りないが、それだけ真面目な理由があるかと思ってしまったのだ。
すると大きな手が伸びてくる。何のつもりだかわからずに奴の行動を見守っていると、ゆっくりと頬に添えられた手に促され上を向かされる。
体格的に当然ながら、頭ひとつ高い位置から見下ろされてちょっと不愉快になる。しかし奴の顔があくまで真剣だったので、思わず振り払うでなく出方を待ってしまった、のが。
俺の、不覚だった。
どんどん近付いてくる顔を、何事かと思いながらのんきに見つめていた。
そのまま当然のように唇が重なり、ようやく我に返ったがもう遅い。
暴れてもギギナの腕力に敵うはずがなく、好き放題に貪られてしまう。
ようやく手を離した男を、何しやがるんだと睨みつけると、微塵も悪びれぬ態度で、何が悪いのだと問い返されてしまった。
普通はこういうことを男にしないんだよっ。
叫ぶと不思議そうな顔をされた。
貴様は、いつも私が普通じゃないと言う癖に、こんな時だけ普通の反応を求めるのか。
まるで俺の方が、おかしいような言い草。
冗談じゃない、どう考えてもオカシイのはお前の方だ。
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44:甘いもの、というリクがひそかに。あまい?(07/01/08) 080408改稿