「てめ、加減というものを考えろ!」
全身のいたるところ。まだ服で隠れる場所はともかく、首筋や二の腕など薄着が出来ない場所に。公衆トイレにも入れないような部分に、病気かと思われそうなほど多量の鬱血痕や噛み傷が残されている。俺も多少は爪痕をつけてしまってるだろうが、比べ物にならない。
「これまで女に嘆かれたことは無いのかよ……」
男で呪式士である俺は平均よりずっと回復が早いのだが、それでもこれらの痕が消えるまでには何日もかかるだろう。ひりひりと痛む痕は、半ば傷になっている。より柔らかで繊細な皮膚をした女性では、かなりの負担になるはずだ。
「女にここまで痕をつけたことはない」
「………………あ、そ」
光栄だというよりは、そんな特別扱いはいらないと主張すべきか。
どう反応するか迷ってしまったこと自体が、ちょっと嬉しいと思った俺の心情を暴露している。
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35:実はちょっと優越感。070925改稿。