ある日、思いついてしまった思考は、我ながら不愉快だった。
身体の奥底まで触れて、全てを暴いて正気を失わせる行為は、獲物を屠るのに酷似している。諦めきれずに足掻く獲物を拘束し、屈服させると満たされると感じる。そして、対象となる「獲物」は何でもいい訳ではない。手強いモノほど、満足度は増していく。
だというのに、露呈する弱さが目障りな相手を貪るときにこそ、他の誰にも感じない充足感を得てしまう。
何度も何度も飽きることなく、ギギナはガユスを殺している。そして、本当にも殺したくて堪らなくなる。
ずっと、ガユスに初めて手を伸ばして組み敷いた時から、ギギナにとってその行為はガユスの息の根を止めない為の代償行為だった。少なくともギギナはそう思ってガユスを嬲り、鳴かせて来た。
だが本当は、どうなのだろう。
もしかすると、ガユスを殺したいと思う衝動こそが、彼を貪り尽くしたいと願う欲望の代償なのかもしれない。
ならばギギナは――ガユスを殺したいのではなくって。軟弱で臆病で無様なイキモノが目障りなのではなく。その反対に、彼を。その全てを手に入れたいと思っているのだろうか。
思いついてしまった考えは、ギギナを非常に落ち着かぬ気分にさせた。
***********************************************************************
05:あきらめの悪いひと。ガユス、いい迷惑。070512改稿